社員と人事のコミュニケーション(前)
試しに、ネットで「人事 不満」と検索してみましょう。
すると、給与などの待遇面、労働条件・労働環境の厳しさや違い、職場の情況、上司や同僚などとの人間関係など、さまざまな不平不満が出てきます。
なかでも、件数が圧倒的に多いのが、人事考課や査定など評価に関する不満です。
一般のアンケート調査などでも、人事についての問題点を列挙しているものを時々目にしますが、押し並べて、人事考課や査定については満足度が低く、不満という回答が全体の40~50%を占めることが珍しくありません。
個々の企業で社員への意識調査を行うと、調査方法にもよりますが、60~70%が人事に何らかの不満をもっているというのが、実感です。これが80%を超えるようになると、かなりまずい(=すぐに何らかの手を打たないと不満が爆発するおそれがある)状況かと思われます。
ちなみに、人事コンサルティングの業務の一環としてこうした調査を行うと、通常よりも不平不満の回答率は高くなる傾向があります。人事管理や人材マネジメントを行っている上で、何らかの問題を自覚しているからコンサルティングを依頼するわけで、その企業の社員も既に問題を具体的に提起していることもあり、当然の傾向ではあります。
人事部門の仕事が社員へのサービスとすれば、提供しているサービスへのクレームがこれだけ多いのは、極めて大きな問題だといえます。人事は仕事をしていない、と一般の社員はもとより経営トップから指摘されても、反論の余地はないと言わざるを得ません。
もちろん、日常的にオピニオンサーベイを実施したり、社内SNSや社外の第三者直通のホットラインなど、経営幹部や人事部門とは別のコミュニケーションチャネルから、さまざまな意見を把握したりしている会社も少なくないでしょう。
いわゆる目安箱のようなものを設けて、社員からの意見や提案を直接吸い上げたり、キャリア相談などを引き受けるメンターやビジネス・コーチを制度化して、人事部門には所属しない役員やマネージャーが社員の相談役となったり、専門家がカウンセラーとして社内に常駐したりすることもあります。
これらのように、人事部門以外のところで、いろいろなプログラムが導入・運用されて、人事上の課題解決に効果を発揮しているケースも多いでしょう。
作成・編集:人事戦略チーム(2015年4月14日更新)