こんな不満ありませんか?   ~評価について(前)

こんな不満ありませんか?~評価について(前)

 

先月このコラムでも触れましたが、人事に関する不平不満のなかで、特に人事考課や査定など評価に関するものは、数も多く内容も幅広く見受けられます。そこで、一口に評価に対する不満といっても様々なものがありますが、代表的なものをいくつかに分類してご紹介してみたいと思います。

 

まず、評価基準への不満や不信感があります。

 

そもそも評価基準がない、評価基準が仕事の実態に合わない、評価基準が評価者によって異なる、結局は長時間労働をする人しか評価されない、といったものです。

職種や事業部門による違いから、評価基準への不満が生じることもあります。典型的なのは、「営業は結果がはっきり出るから個人の差が目に見えていいが、事務はチームプレー中心で個人別の成果は判断できない」とか「儲かっている部門はいいが、慢性的に赤字が出ている部門に異動させられては成果が出せないし、同じ基準で横並びで見られても納得できない」といったものです。

 

次に、評価者への不満があります。もしかすると、評価への不満で最も多くを占めるものかもしれません。

 

まず、評価者に対して、能力や職場の実情から不満が噴出することは多いようです。評価者の管理職としての能力が低い、自分(被評価者)の仕事をしらない(できない)、外勤中心の仕事や在宅勤務とかサテライトオフィスなど物理的に離れていて普段の仕事を見ていない、評価の内容や結果について説明できない、先入観(性別、出身校、年齢などの属性や、個人の趣味や嗜好など)で判断する、などといったものが典型的です。

さらに、人格的にダメ出しをしているケースも少なからず見受けられます。部下同士を比較して好き嫌いを正当化しているだけ、えこひいきが激しい、人柄や行いの面で上司として認められない、などなど、最近見聞きしたものをランダムに挙げてみるだけでも、たくさんありすぎて分類しきれないほどです。最も極端なのは「あんな人間に評価などされたくない」といった声もあります。

また、評価者が複数の階層に分かれていていると、直接仕事をすることが多い一次評価者はまだしも、二次評価者や三次評価者となると、ほとんど顔を合わせたことも仕事をいっしょにしたこともない、というケースが多いようです。こういう場合、二次評価や三次評価は一人ひとりの評価を行うのではなく、一次評価者間のバラツキを補正することに主眼が置かれていても、一次評価者や被評価者から見ると、全体像が見えないだけに何を評価しているのかわからないといいった不安や不信感を招きがちでしょう。

 

ところで、多面評価や部下からの評価を導入している企業では、管理職から多面評価や部下からの評価に関する不満が漏れてくることも珍しくありません。なぜ、部下から評価されなければならないのか、といった不平不満はよく聞かれます。マネジメントやリーダーシップについて、部下や関係者などから評価を受けて、その結果のフィードバックを受ける必要性は理解できても、それで昇給・賞与や昇進・昇格が左右されるとなると、納得しかねる人も多いでしょう。

反対に、非正規社員からは、まったく評価されることがないという不満もあります。多くは、一定期間、勤務が継続していれば、契約更新のときに結果としてわかる程度のものです。同じ職場で仕事をしているにもかかわらず、正社員であれば仕事の成果や働きぶりを評価される機会があるのに、非正規社員ではそうした機会すらないという企業も珍しくはないようです。

 

(後半に続く)

 

作成・編集:人事戦略チーム(201557日更新)