起業する場所を選ぶには(1)
起業する際に考えなければならないことのひとつに、どこに拠点を設ければよいかということがあります。インターネットでいつでもどの地域にいる人ともつながることができる時代とはいえ、どこでもいいわけではありません。
起業する場所について考える視点はいくつかあります。
立ち上げようとしている事業の特性、顧客との関連性、調達すべき経営資源へのアクセス、想定している事業展開のスピードといったところは、多くの起業家に共通するものでしょう。
まず考えるべき視点は、事業の特性です。
これは、ビジネスモデルが物理的地理的な要因に左右されるものであるかどうか、ということです。
ネット関連の事業などではあまり関係のない要因かもしれませんが、宿泊施設など観光地との関連が強いビジネスであるとか、店舗を設けたり、顧客のもとへ配送・出張などのサービスを行うようなビジネスであれば、創業当初に置く拠点は実際にビジネスを展開しようとする場所に置くべきでしょう。
たとえば、飲食業など店舗が必要なものであれば、店舗の立地条件が重要なのは当然です。一号店を想定している地域で創業するのが自然でしょう。また、事業を行う上でデリバリーが重要な要素となるのであれば、その最初の拠点候補地で創業するのが基本でしょう。
特に原材料を調達しなければならない事業(たとえば何かをリサイクルして別の製品を作り出すなど)では、その原材料が重くて大きいものであるほど、できるだけ原材料の発生地に近いところで、事業に取り組んだほうがいいでしょう。その創業場所である程度、事業を確立して、原材料の発生地をネットワーク化するなどして、次の成長につなげていくことが望まれます。
コンテンツやシステムなどの製品やサービスを開発するのにさまざまな業界や職種の人々が協同して当たる必要があるビジネスでは、インターネットを介して必要なコミュニケーションをとるとしても、ときには直接の協同作業が求められることもあります。こうしたケースでは、ハブとなる場所に拠点を設けることが有効かもしれません。国内外との直接のアクセスが可能な空港に近いといった条件を満たす場所が望ましいでしょう。
作成・編集:経営支援チーム(2016年10月6日更新)