働くのに最高の職場2020<2019年調査>(2)
次に、業種別の傾向や特徴などを見てみましょう。
大手企業の上位100社について、その業種別分布をみたものが表3です。
表3:大手企業上位100社の業種別内訳
業種 |
社数 |
累計% |
コンピューター関連 |
23 |
23 |
メディカルサービス |
10 |
33 |
ITサービス |
7 |
40 |
金融 |
7 |
47 |
小売 |
7 |
54 |
コンサルティング |
5 |
59 |
不動産 |
5 |
64 |
消費財メーカー |
4 |
68 |
メディカル製品 |
4 |
72 |
人材サービス |
4 |
76 |
航空・宇宙 |
3 |
79 |
建設・建築 |
3 |
82 |
産業機器製造 |
2 |
84 |
通信 |
2 |
86 |
外食 |
2 |
88 |
会計サービス |
2 |
90 |
ホテル |
2 |
92 |
卸売 |
1 |
93 |
連邦政府機関 |
1 |
94 |
その他サービス |
6 |
100 |
100 |
大手企業の上位100社については、コンピューター関連(ハード、ソフト、システム、セキュリティなど)とメディカルサービス(病院など)が、前年度と同様に3分の1を占めています。
コンサルティングまでの上位6業種で全体の6割を占めるのは昨年と同様です。これら6業種の企業が人材を重視するのは予想通りですし、個別企業のベスト10にも同様の比率で入っています。
今年の特徴としては、消費財メーカーが1社(昨年度は食品メーカーとして1社のみ)から4社に増加したことがあります。また、建設・建築(設計事務所はその他サービスに含む)も1社から3社に増えました。
大手企業については、基本的な傾向は変わっていないものの、消費財メーカーや建設・建築といった伝統的な産業においても既に「働くのに最高の職場」であるかどうかが問われてきており、それに対応できている企業が次々と出現していることを窺わせる結果となっています。
こうした動向は、遅かれ早かれ日本でも見られるようになるはずです。むしろ、少子化高齢化が進んで人手不足が深刻な日本でこそ、伝統的な業界での取り組みが進んでいて然るべきです。
表4:中堅中小企業上位50社の業種別内訳
業種 |
社数 |
累計% |
コンピューター関連 |
13 |
26 |
金融 |
6 |
38 |
ITサービス |
4 |
46 |
広告・マーケティング |
3 |
52 |
消費財メーカー |
3 |
58 |
不動産 |
2 |
62 |
その他サービス |
12 |
86 |
自動車ディーラー |
1 |
88 |
人材サービス |
1 |
90 |
メディカル製造 |
1 |
92 |
建設 |
1 |
94 |
通信 |
1 |
96 |
外食 |
1 |
98 |
医療サービス |
1 |
100 |
小売 |
0 |
100 |
50 |
中堅・中小企業の上位50社を業種別に見ると、上位を占める業種には大きな変化はないように思われますが、金融以外は社数が減少しています。
消費財メーカーがゼロから3社になった一方で、小売は4社からゼロになりました。「働くのに最高の職場」であろうとしても、小規模な小売業そのものがビジネスとして立ちいかなくなってきているのかもしれません。
また、その他サービスが12社に増加したり、1社ずつの業種業界が増えたり、上位業種の寡占度が減少したりするなど、業種の多様化が進んでいることが読み取れます。ちなみに、その他サービスには、コンサルティング、警備保障、法務、税務、トランザクション(事務代行)、宗教団体などがあります。
こうした特徴から、大手企業では一定の業種業界で従業員の評価を高めようとする傾向が強くでているもの、中堅・中小企業ではより多くの業種業界、あえて言えば、すべての業種業界で従業員の評価を高めなければ事業が運営できないのではないかと推測されます。中堅・中小企業における業種別の分散傾向は、今後も続いていくのではないかと思われます。
作成・編集:人事戦略チーム(2020年1月9日)