2020年度の補助金・助成金の応募に向けて
今年も補助金・助成金の募集が始まりました。これから春先に向けて応募しようと計画されている方々も多いことでしょう。
既に募集が始まっているのは、「伝統的工芸品産業支援補助金」（経済産業省所管、注1）です。これは伝産法（伝統的工芸品産業の振興に関する法律）の規定により、経済産業大臣の指定を受けた団体や企業などが対象なので、広く一般の事業者が対象になるわけではありません。
このようなものは、事前に申請要件のひとつである公的な指定や認定を受けるのに時間がかかります。そこで正式に補助金・助成金の募集が始まる前に、書類の提出や必要な審査（中小企業診断士による経営診断など）・研修受講などを行っておくなど、できるだけ必要な準備作業（公的な指定や認定を受けることなど）を進めておくほうがよいでしょう。
こうした補助金・助成金には、業種業界やテーマ（後継者育成、事業承継、起業・新規開業、中小製造業、小規模事業者、IT活用、新技術開発、知的財産、商店街活性化など）を絞って募集されるものが数多くあります。2019年度に募集されたもので、興味のあるものがあれば、募集要項などを一読して、事前に準備可能な手続きがあれば、今から着手しておきたいものです。
正式な予算成立はまだですが、事前予告が出ているのが「戦略的基盤技術高度化支援事業（サポイン事業）」（経済産業省所管、注2）です。対象となる立体造形技術や精密加工技術などを外部機関（大学や公的試験機関など）と連携して高度化するプロジェクトを推進しようとする中小企業にとって、3年間で1億円近い助成が受けられるのは注目すべきでしょう。
これは、jGrantsという補助金申請の電子申請システムから応募するため、事前にgBizIDプライムというIDやパスワードを取得しておく必要があります。このIDやパスワードを取得する手続きに2～3週間程度を要するので、この補助金を申請しようと思われる方は、早急にgBizIDプライムのIDやパスワードなどを取得するための作業に入ることが望まれます。
補助金・助成金に限らず、公的機関との取引を行う際には、電子申請や入札資格取得などを事前に済ませておかないと、締め切りまでに必要な資格や認証が得られないこともあります。十分にご注意ください。
さて、今年ならではのものとしては、「TDM（交通需要マネジメント）対応支援助成金」（東京都産業労働局・東京都中小企業振興公社所管、注3）があります。これは東京2020オリンピック・パラリンピックに付随して実施される都内の交通需要マネジメントの影響に対応するため、都内で事業を営む中小企業が事業活動を円滑に行えるように、その物流関連の対策に要する費用の一部（最大で2分の１、通常は100万を上限とし、システム改修を伴う場合は500万円まで）を補助するものです。
事業を行っている地域の自治体が運営する補助金・助成金制度もあります。たとえば、練馬区では区内の中小事業者を対象に今年度は次のようなものがありました。
・ホームページ作成費補助金
・区内事業者等の連携による製品等開発補助金
・見本市等出展費用補助金
・商店街空き店舗入居促進事業（補助金と経営サポート）
・各種認証等の取得支援事業（補助金）
・産業財産権の取得支援事業（補助金）
2020年度も同じ補助事業が実施されるかどうかわかりませんが、ある程度、同様のものが実施されるものと思われます。いずれの自治体においても何らかの補助金や助成金が制度化されているはずですから、一度、事業を行っている地域の自治体のHPなどを確認されるとよいでしょう。
当サイトにおいては、補助金・助成金の募集が正式に始まったものから順次、情報を更新していく予定です。一般的な留意事項などについては、昨年のコラム「次年度の補助金・助成金の応募に向けて」などもご一読ください。
作成・編集：経営支援チーム（2020年1月14日更新）
【注1】
詳しくは、以下の募集要項を参照してください。
https://jgrants.go.jp/sites/default/files/1332/6476/subsidy/public_offering_files/cdb58970dce02b51/令和2年度伝統的工芸品産業支援補助金公募要領及び電子申請マニュアル.pdf
【注2】
詳しくは、以下のサイトをご覧ください。
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/sapoin/2019/191226mono.htm
【注3】
概要は、以下のサイトをご覧ください。
http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2020/01/07/04.html
【注4】
詳しくは、以下の練馬区のサイトをご覧ください。
https://www.nerima-idc.or.jp/bsc/yuushi/hojokin.html