結果を評価する視点~東京オリンピック2020を例として~(1)
さまざまな経緯や議論はありましたが、2回目の東京オリンピックが閉幕して1週間が過ぎました。その結果をメダル獲得数という点から見れば、史上最多の58個を獲得したのですから、大成功と言えるでしょう。
|
セル2 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
第二次大戦後の過去のオリンピックのメダル獲得数の推移を国別にまとめてみたものが表1です(注1)。この表だけを見ると、確かに58個というメダル数は、前回の東京大会(1964年開催)のちょうど2倍となり、この50年ほどの間に日本人のスポーツ能力が着実に向上したように思われるかもしれません。
ここで注意したいのは、大会ごとのメダルの合計数です。表1の右端の「合計」覧を見ると、大会ごとに増えており、前回の東京大会では500ちょっとだったものが、東京2020大会ではとうとう1000の大台を超えてしまいました。メダルの数は競技種目の数に比例しますから、今大会で日本が獲得したメダル数は、競技種目数が増加したのと同程度に獲得したメダルの数も増えただけ、という評価を下すこともできます。
ちなみに、表1から大会ごとに国別の獲得メダルのシェア(メダル合計数に占める当該国の獲得数の割合)を見てみたものが表2です。
|
セル2 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
表2からは、前回の東京大会(1964年)よりもわずかながらシェアは下がっているとも言えます。シェアの面で前回大会を超えるには、63個が必要だったわけです。つまり、メダル獲得という結果を追求するのであれば、あと5個のメダルを獲得できて、はじめて前回大会を上回る結果を挙げたことになったのです。
【注1】
過去のオリンピックについての記録は、以下のサイトのデータによります。
Olympic Results, Gold Medalists and Official Records (olympics.com)
今年行われた東京オリンピック2020の結果については、ヤフージャパンの特設サイトによります。
国別メダルランキング - 東京オリンピック・パラリンピック特集 - Yahoo! JAPAN
なお、国名で「ロシア」とあるのは、基本的に現在のロシアですが、東京2020大会ではROC(ロシアオリンピック委員会)として、バルセロナ1992大会ではEUN(ロシア、アルメニアなどの12ヶ国の合同チーム)として、ソウル1988大会以前はソビエト連邦として、それぞれ参加したものをいいます。
同様に、国名で「ドイツ」とあるのは、基本的には現在のドイツですが、東京1964大会までが東西統一ドイツとして獲得したメダル数を、メキシコシティ1968大会からモントリオール1976大会までとソウル1988大会は旧西ドイツと旧東ドイツの2ヶ国が獲得したメダルの合計数を、それぞれ表示しています。
ただし、ロサンゼルス1984大会はソビエト連邦や東ドイツなどが不参加のため、ドイツは旧西ドイツのみとなります。モスクワ1980大会は日本・米国・カナダ・旧西ドイツなどが不参加のため、旧東ドイツのみとなります。
作成・編集:経営支援チーム(2021年8月16日)